moiのブログ 日々のカフェ season3

東京・吉祥寺の北欧カフェ「moi」の店主によるブログです。基本情報は【about】をご覧ください。

【受付終了】スタッフ募集

週末(土曜、日曜、および祝日)にお店を手伝ってくれるスタッフを募集します。ちいさなお店ですので、関わっていただく仕事はカフェにまつわる業務のほぼ全般とお考え下さい。具体的には、

 

・開店作業(清掃、仕込みのお手伝い等)

・ホールでの接客

・簡単な調理をふくむキッチン作業

・雑貨等の販売

・イベントのお手伝い

・閉店作業(清掃など)

 

などなどです。臨機応変に動ける方、歓迎です。

勤務は月2〜3回程度、11時30分から19時30分までで早番/遅番のシフト勤務の場合と、通し勤務の場合とがあります。

 

二人体制での勤務になりますので、急な欠勤、遅刻、早退などは大変困ります。原則認められないものとお考え下さい。その意味では、月2〜3回のアルバイトとはいえお店の一員としての自覚と責任とが大切になります。

 

学生、社会人、主婦など資格は問いませんが、まずは上記の条件をよく読んでいただき了解の上、ご応募いただければと思います。もちろん、北欧が好き、フィンランドに行ったことがある、カフェの仕事に関心があるといった方々、大歓迎です。

 

受付終了に際してはあらかじめこちらにてお知らせさせていただきますが、タイムラグにより行き違いが生じた場合はご容赦下さい。

 

では、応募要項です。まずは、メールにてご連絡をお願い致します。こちらから面接の日時の希望など含め返信させていただきます。定休日(火曜日)以外はできるだけ24時間以内に返信させていただきますが、もし返信がない場合お手数ですがお電話にて確認をお願い致します。

 

件名:スタッフ募集

氏名、ご連絡先電話番号も記載してください

その他、特記事項があれば書いておいてください

 

※3/18追記 おかげさまをもちまして募集はいったん締め切らせていただきました。多数のご応募ありがとうございました。

イベント《カレワラの夕べ》レポート

フィンランドの国民的叙事詩「カレワラ」にちなんだイベント、《カレワラの夕べ》を開催しました。まずは、ご来場いただきました皆様どうもありがとうございました。

コクミンテキジョジシというとなんだかむずかしく聞こえますが、フィンランドの人びとのあいだで長く語り継がれてきた荒唐無稽の物語です。そのすごさに気づいた医者のエリアス・リョンロットが、各地を訪ね歩いては採集した数々のおはなしをまとめて一冊の本として出版したのが1835年2月28日のこと。この『カレワラ』を手に取った当時のフィンランドの人びとは、自分たちの郷土に独自の、しかもこんなにも豊かな物語があったのか! と驚き、それがやがて独立への機運へとつながっていったともいいます。そんなこともあって、フィンランドでは『カレワラ』が出版された2月28日は、いまでは国民の祝日「カレワラの日」と制定されているのだそう。

今回のイベント《カレワラの夕べ》は、子どものころから「カレワラ」に親しんできたというライヤ橋本さんの「日本でもなにかカレワラにちなんだイベントを!」という思いを受けて、フィンランドで音楽を学んだ駒ケ嶺ゆかりさん、そして水月恵美子さんのおふたりがアレンジしてくださいました。モイとしては会場提供というかたちでの協力でしたので、イベント内容についてはフタを開けてみないことにはわからないという感じでしたが、そのぶんワクワクしながらお客様目線で楽しむことができました。そこで、以下にすこし当夜のレポートを。

 

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まず最初は、ライヤ橋本さんによる朗読で「カレワラ」の序章を聴きます。「カレワラの魅力は、なんといってもまずその韻律にある」と言うライヤさん、ときに歌うように、流れるようにカレワラを読んでいきます。そのリズムは、森の小鳥のさえずりだったりそよぐ風、川のせせらぎを思い起こさせてくれます。そして、段落ごとに駒ケ嶺さんが日本語訳を朗読。

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つづいて、カレワラの成り立ちや壮大な物語をかいつまんでライヤさんが説明してくださいました。なんでも、たいがいのフィンランドの家庭にはこの『カレワラ』があるのだとか。自身も、息子さんが子どものころプレゼントしてあげたそうです。こうやってフィンランド人の「DNA」は受け継がれてゆくのでしょうか。

ライヤさんによると、日本で「カレワラ」が紹介されたのは、昭和12(1937年)森本覚丹の訳により日本書荘から出版されたのが最初とのこと。『カレワラ』のフィンランドでも出版からちょうど百年くらい後ですね。ほかにも、来日以前の小泉八雲は「カレワラ」を研究していたとか、『指輪物語』のトールキンは『カレワラ』を原語で読むためにフィンランド語を勉強していたといったエピソードも紹介されました。あるいは小泉八雲は、古代から日本の人びとのあいだで語り継がれてきた昔話の数々に「カレワラ」に通じる豊かさを「発見」したのかもしれません。

会場には、ライヤさん秘蔵の「カレワラ」コレクションの数々も展示され、みなさん自由に手にとってご覧になられていました。

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ライヤさんによる楽しいお話の後は、メゾゾプラノの駒ヶ嶺ゆかりさんによる演奏でシベリウスの歌曲を4曲。駒ヶ嶺さんは札幌を拠点に活躍する声楽家で、フィンランドではピアニストの舘野泉さん、夫人で声楽家のマリア・ホロパイネンさんのもとでシベリウスをはじめとした北欧の歌曲とその世界について学ばれました。

演奏されたのは、フィンランド語の詩による「川面の木屑」op.17-7、「泳げ、泳げ、青い鴨」、そしてスウェーデン語による「3月の雪」op.36-5、そして「3月の雪の上のダイヤモンド」op.36-6でした。「川面の木屑」は、水際に流れ着いた木屑をみて、どこか遠くで花嫁を迎えにゆく舟が作られたにちがいないと思いをはせるロマンティックな内容。自然とともに生きるフィンランドの人びとの心情が、メゾソプラノのふくよかな響きで細やかに歌われます。

演奏は、楽器のない当店の環境に合わせて特別に水月さんが制作してくださった音源が用いられました。「カラオケ」では息を合わせるのが大変ではと思いましたが、そこはさすがお互いの呼吸を知り尽くしたおふたりのこと見事なコンビネーションでした。

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挨拶をするピアニストの水月さん。水月さんはシベリウス音楽院のご出身。舘野泉さんと共演したCDも発売されています。

 

お話と演奏の後は歓談タイム。モイのお飲み物とフィンランド風のシナモンロールで余韻を楽しんでいただきました。

「カレワラ」が大好きと語るライヤ橋本さん、少女のように目をキラキラ輝かせながらお話する姿がなんとも印象的でした。遠い北の国のコクミンテキジョジシが、ずいぶんと身近に感じられた一夜。

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カレワラの夕べ

3月6日(日)午後6時30分より、『カレワラの夕べ』というこじんまりとしたイベントがおこなわれます。まだ若干名の参加が可能とのことですので、こちらでもご案内させていただきます。

 

カレワラの夕べ

 フィンランド各地で語り継がれてきた物語を医師であったエリアス・リョンロットが採集、編纂した民族叙事詩『カレワラ』。

 今回は、この『カレワラ』の序章を橋本ライヤさんが朗読、解説してくださいます。フィンランド語の豊かな響きで『カレワラ』の原風景を味わっていただくことのできる貴重な機会です。日本語による訳もつきますので、フィンランド語がわからないという方もご安心ください。

 さらにフィンランドで研鑽を積んだメゾゾプラノの駒ヶ嶺ゆかりさん、ピアノの水月恵美子さんのおふたりによるシベリウスの歌曲の演奏もあります。なお、会場の都合上、ピアノ伴奏は録音したものとなります。

 ご興味のある方は、ぜひお早めのお申し込みください。

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公演日 3月6日(日)18時30分〜20時(開場18時)

会 場 moi カフェモイ(吉祥寺)

参加費 2,000円(シナモンロール、ドリンクつき) 当日現金精算

 

追記/おかげさまをもちまして受付は終了いたしました。

 

なお、イベント開催に伴い3月6日(日)は17時L.O.17時30分閉店とさせていただきます。

私立探偵は「いつもの」と注文することで自身の選択の自由を担保する

◆ついに、いきつけの肉屋でひとことも発することなく品物が出てくるまでになってしまった。「楽でいいか」と思う反面、「いつもの」くらいは言わせてくれ、そんな気もしないではない。「いつもの」とはつまり、たくさんの「いつものじゃないヤツ」の中から選びとられた〝このひとつ〟のことを指すのであって、その意味でハードボイルドに登場する私立探偵は、(いつも同じものにしか口にしないくせに)バーのカウンターで「いつもの」とオーダーすることでじつは選択することの〝自由〟を担保しているわけである。

デイヴ・ブルーベックのアルバム『タイム・アウト』(1959)をひさしぶりに聴き、またしても冒頭の「ブルー・ロンド・ア・ラ・ターク」にやられる。「ブルーなロンド、トルコ風に」。モーツァルトベートーヴェンは、初めて耳にするオスマントルコの軍楽隊によるエキゾチックなリズムに霊感を得て「トルコ風」の作品を書いたわけだが、20世紀の作曲家デイヴ・ブルーベックはその18世紀のモード(流行)に、さらに「ブルース」という1950年代式のエキゾチックなモード(流行)を異種交配することでこんな曲を生み出した。さすがはダリウス・ミヨーの弟子である。ミヨーには、西欧音楽にブラジルのダンスミュージックをかけあわせた『屋根の上の牝牛』という名曲がある。もしも「ジャズピアニスト」という肩書きでここまで有名になっていなかったとしても、デイヴ・ブルーベックの名前は「コンポーザー」という肩書きで音楽史の上に輝いていたにちがいない。

20世紀のサロンで「トルコ風」を披露する(?)デイヴ・ブルーベック・クワルテットのライブ映像。


Dave Brubeck Quartet - "Blue Rondo à la Turk," live

◆平日の営業時間内をひとりで切り盛りするようになってからそろそろ一年が経つ。たまたまお客様が集中するとどうしてもバタバタしてしまうのだが、先日、そんな気配を察した常連のお客様が注文後にひとこと、「ゆっくりでいいわよ」と声をかけてくださった。ゆっくりでいいと言われて「はい、そうですか」とあからさまにスピードダウンするわけではないのだけれど、気持ちにゆとりが生まれ落ち着いて作業に集中できるのでこういう状況にあってはまさに「救い」のひとことといえる。この仕事、こういう生身の人間とのふれあいなくしてはとてもじゃないが続かない。

◆ここのところ繰り返し、ハインリッヒ・シュッツの「わがことは神に委ねん」SWV.305を聴いている。クラシックはそこそこ聞きかじってきたつもりだったが、まだまだこんな凄い音楽があったのだ。正直ビックリしている。

この曲は、シュッツの「小宗教コンチェルト第1集op.8」のなかの一曲である。この作品集をシュッツは、そのためにドイツの人口が三分の一にまで減ってしまったとされる「30年戦争」のさなかに発表している。まさに、戦時下の音楽。厳しいながらも、ざわついた心を鎮め、きっぱりとした歩調で正しい道筋へと人びとを導いてゆく小さな灯火のような音楽である。タイトルは、ごく少ない人数でも演奏可能であることを意味していて、じっさい、ぼくが聴いているのもテルツ少年合唱団の数名のソリストたちによる演奏だ。人数が少ないぶん、そこには切々とした魂の叫びがあり、「歌」というよりもむしろ「声によるドラマ」といった印象を抱く。

思うに、シュッツはこの曲集をドイツ各地の村の教会で信仰心の厚い人びとによって演奏されることを前提に作曲したのではないだろうか。この作品を演奏することで、たとえ荒廃したドイツ全土に離ればなれになっていようとも、人びとの信仰は守られ、心をひとつにすることができる。戦時下の音楽の果たすべき役割について、シュッツは深いところでかんがえたひとだった。それは、おなじく乱世にあって、「御文(おふみ)」というかたちで各地に散らばった門徒たちに弥陀の教えを正しく伝えようと心を砕いた蓮如にも通じている。


Tölzer Knabenchor - SCHÜTZ(SWV 305)

椿事

◆鉛色の空に冷たい北風。そんな塩梅なので、当然のごとくお客様の少ない1日でした。それにしたって、オーダーの入ったドリンクがすべて「あたたかいコーヒー」、コーヒー100%というのは13年超の営業で初めてのこと。もっとお客様の少ないときもあったというのに。まさに〝椿事〟です。

◆先日お会計の際、毎週のようにお茶をしに来てくださっていたお客様から声をかけていただきました。転勤のため、5年間の東京暮らしにピリオドを打ち関西方面に戻ることになったとのこと。ガクッ、毎度こういうときは膝から力が抜けるような感覚に陥ります。いや、ほんと大袈裟でなく。とはいえ、ある日を境にパタッといらっしゃらなくなったらそれはそれは心配なので、声をかけていただけてありがたかったです。長い間どうもありがとうございました。どうぞお元気で、また会える日まで。

ところで、そのお客様もそうなのですが、常連のお客様には関西出身の方が占める割合がけっこう大きい気がします。京都や神戸、大阪には昔からいい喫茶店が多いですが、そのせいか暮らしの中に「喫茶店で一服」をうまく取り入れているひとも少なくないようです。そんなこんなで、「喫茶文化は西高東低」というのは以前からのぼくの持論です。

◆それはともかく、水曜日のカフェ営業を再開して約1ヶ月が過ぎましたが、どうもやはり水曜日はお客様が少ないですね。苦戦中。あ、お客様が少ないから水曜日も休みにしたんだっけ? なんていまさらながら思い出してみたり。でも、毎週のように来てくださる方もいらっしゃるのでしばらくは様子をみたいと思います。場合によっては、火曜日を営業して水曜日を休むという手もアリ!? すくなくとも、髪の毛を切るぶんにはそちらのほうが好都合ではあるのですが。まだ「正解」はわからない。

◆昨日のこと。散歩の途中、阿佐ヶ谷と高円寺のまんなかあたりで、ふた月ほど前に見た夢のなかに出てきた「家」と出くわした。大きな三角屋根の平屋で築5、60年くらいの、画家のアトリアのような、ちょっと温室のようなたたずまい。板壁は、薄く空色に塗られている。夢のなかではたしかにその「家」に入っているので室内の様子もなんとなく想像できるのだが、答え合わせできないのがちょっと残念なような、でもやっぱりそれでいいような。

サーモンの北欧風タルタルサンドについて

 残念なお知らせです。

 先ほど取引先のパン屋さんより、サーモンの北欧風タルタルサンド(現在水曜日、木曜日のみ提供中)に使用しているパンの製造中止についての連絡がありました。時期については4月中とのことでしたが、まだはっきりしないとのことです。

 「サーモンの北欧風タルタルサンド」はオープン当初からのメニューであり、14年間変わらない味で提供をしてきました。パンについても、素材同士のバランスを考えいろいろ探し回ってみつけた商品だっただけに大変残念ではありますが、「これはこれで美味しいね」と言っていただけるような代替品をこれから探そうと思っています。

 長らくこの味を楽しみにご来店いただいていたお客様には大変申し訳ないのですが、何卒ご理解の程よろしくお願い致します。

 なお、3月いっぱいは確実に入手可能なので、「まぼろし」になる前に現在の「サーモンの北欧風タルタルサンド」の食べ納めにぜひご来店いただけますようお願い致します。

 

サーモンの北欧風タルタルサンド 水曜日、木曜日限定で提供中

*3月いっぱいは現在のパンを使用。その後は変更になりますが、代替品がみつかるまでしばらくの間休止する可能性もあります。