moiのブログ 日々のカフェ season3

東京・吉祥寺の北欧カフェ「moi」の店主によるブログです。基本情報は【about】をご覧ください。

28.06.2018

 渋谷駅の、井の頭線の改札と山手線、銀座線の改札をむすぶ連絡通路はちょうどスクランブル交差点を一望できるビューポイントらしく、いつ通っても外国からの観光客でにぎわっている。あるいは、東京のガイドブックに紹介されていたりするのかもしれない。

 ついこのあいだも、通勤ラッシュの人波を横切ってさまざまな国籍の人たちが、だがみな一様にうれしそうな表情で窓に駆け寄り、ガラス越しに交差点の様子を写真や動画に撮ったり、また自撮りしている場面に遭遇した。そしてそれは、まるで防波堤の切れ目からちらりと青い海が見えたとたん我慢できず走り出す夏休みの子どものようでなんともいえず微笑ましい光景だった。

 とはいえ、さんざん見慣れたものにとっては、正直なところ「そんなに交差点が見たいか?」という気がしなくもない。だってさ、交差点だよ。しかしそうかんがえると、思わずひとをして駆け寄りたい気分にさせてしまう渋谷のスクランブル交差点というのは相当すごい。おそらく世界広しと言えども、そんな交差点はここくらいのものだろう。魔性の女ならぬ魔性の交差点だ。好きすぎて「自宅の庭にスクランブル交差点を作ってしまったアメリカの大金持ち」とか出現しても、とりたてて不思議ではないくらいだ。

 これはもっと積極的にビジネスに活用したほうがいいんじゃないか? と、渋谷にくるたびにかんがえる。たとえば、スクランブル交差点をイメージした携帯ストラップだとか、ハチ公広場の屋台で売る「名代・スクランブルエッグ(姉妹品「池袋駅東口五差路」もよろしく)」だとか、VRで家にいながらにしてスクランブル交差点を渡っている気分になれる映像ソフトとか……。しかし、そんな妄想に浸りながら歩くものだから、いつも渡り切るまでに最低5人くらいとぶつかりそうになる。悪いことは言わない、渋谷のスクランブル交差点を渡るときは、無心で進め。