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moiのブログ 日々のカフェ season3

東京・吉祥寺の北欧カフェ「moi」の店主によるブログです。基本情報は【about】をご覧ください。

ペディグリーチャム殺人事件

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 ペディグリーチャム殺人事件。朝、目がさめてぼんやりしていたら唐突にそんなコトバが思い浮かんだのだ。いきなり何が言いたいのだ? まったく、脳ってこわい。ぼくにとって、脳は真っ暗闇で、そのなかを無数のコトバが蠢いているイメージ。彼らは、指令がきて呼び出される時を待っている。なかには二度と出番のないまま消えてゆくものもあるかもしれないが、それでもただ待っている。ところが、ときに呼び出されてもいないのに自力で飛び出してこようという奴らもある。コトバの暴発。けさ、<ペディグリーチャム>と<殺人事件>とはこうやって申し合わせて飛び出してきたのである。言ってみれば、これはコトバの逃避行だ。もしかしたら、シュールレアリスムの<自動記述>とはこういうことなのかもしれない。どうなんだろう? 教えてブルトン先生。

 だが、ほんとうの脳のこわさは、こうしたコトバたちの勝手気ままを脳はけっして許さず、すぐさま追いかけ、意識という「網」で捕獲しようとするところにある。というのも、ぼくはすぐさま「ネコまっしぐら カルカン殺人事件」という言葉を連想したからである。せっかく自由を求めて飛び出してきたのに、意識は「ネコまっしぐら カルカン殺人事件」というなんとも恐ろしい飛び道具をもって<ペディグリーチャム殺人事件>を引っ捕えることで、それをたんなるナンセンスな言葉遊びに変えてしまった。<詩>は意識に対する<抵抗>だが、「言葉遊び」は意識への<従属>である。意識はコトバを秩序づける。秩序づけられたコトバは「言葉」になる。

 朝、目が覚めてからのほんの数十秒のあいだにこんな恐ろしい闘争のドラマが繰り広げられていたのかと思うと、ホント脳ってこわい。