moiのブログ 日々のカフェ season3

東京・吉祥寺の北欧カフェ「moi」の店主によるブログです。基本情報は【about】をご覧ください。

カワイイ

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 カワイイ(「cawaii」)というタイトルのティーン向けのファッション誌、昔なかったっけ? それはそうと、先日来店したたぶん4歳くらいの女の子が、店に置いてあるノルウェーの絵本『キュッパのおんがくかい』を眺めながらしきりに「見た目はカワイイけど、木に登ってドロボーみたいで怖い!」と言っていたのが気になって、後から確認してみた。それまでまったく気にも留めていなかったけれど、なるほど「ドロボーみたい」だ。うん、ドロボーだろこいつ。まったく、子どもの「目」がもたらすこういうひとことにはいつもながらハッとさせられる。通勤途中、網棚の上にうっかり置き忘れてきた「子どもの目」を思い出させてくれるからだろうか。

 ところで、ツイッターでフォロワーさんからもリプライをいただいたけれど、じゃあ「見た目はカワイイ」のかといえばそれもなかなか際どい、インサイド高めギリギリみたいなところを突いている。でも、子どもにウケるものが大人の目からすると理解できないということはままあることだ。子どもの「目」は、成長する過程で一定の社会的規範(コード)によって束ねられてゆくのかな、そして「大人」というのはこうして「結束された子ども」を意味するのかな、などとふと思ったり。とすると、大人にしてなお子どもにウケる作品を生み出すことができるというのは、そういうコードによる束縛からするりと逃れることのできる天賦の才能の持ち主にのみ許された仕事なのだろう。